【春爛漫の里山賛歩】


春爛漫

【日 程】2015年03月08日(日)
【天 候】曇
【メンバ】2人


天気の良さそうな日曜、これからの時期は藪用がびっしり詰まっている。でも「これから」なので「この日」は当然の山遊び、本来であれば鳥海などの有名所に出没してみたい気もあったのだが、現実的には身体が出来ていないので無理、さすれば自ずと行き先は限定される。お気楽に里山でも観察しながら気分転換しようと出掛けた。
近所のセブンで定番の食料を調達し何処に行こうか考えながら車を発進する。

とは言いながら人間とは欲張りな生き物、オラも例外ではなく心の中に秘めた野望(笑)があったわけで、否応なくそっち方面に進むのだった。
あわよくばと言う思いを否定することは出来ないが、まあちょっとね、と言う気持ちの方が強かったのは言い訳かな。好天もここまで来ればもう春爛漫のような陽気に朝の残雪はズブズブ、かんじきを担いで登り始めたが途中ですぐに履いた。それでも雪は重く辛かった。

ようやく尾根の登り口に到着した頃には疲労困憊、予想外に時間を食ってしまったが気を取り直して登り始める。
夏道のない尾根にはかろうじて雪が張り付いていたが、笹原の上などは滑る滑る、何とか騙し騙し高度を稼ぐが、ちょっとしたトラバースで低い枝を払おうとしたら、20年来愛用のド派手な帽子が滑落していった。少しがっかりしたがそのまま知らんぷりして先を急ぐ。
しかしドケチで気持ちの小さい性格は、いくら歳を取っても治るはずはなく、次第に不機嫌になるのを止める術はない。

グリップの効かない雪上斜面を登る辛さがさらに追い打ちをかけ、ちょっとした事でイライラが爆発する。後で考えればバカな話なのだが、心に余裕がないと瞬間的にお湯が沸騰するのは親譲り、悪いものは遺伝するなんて昔の人は上手いことを言ったもんだ…(笑)
それでも小尾根を登り切ると景色は一変した。ノントレースの樹林帯を我が物顔で歩ける幸せは、全ての問題を解決するのには十分だった。



静かな尾根を歩く

青空に輝く残雪に陰影を作るブナの幹は春山の代名詞、なだらかに起伏する雪上には動物達が残していった痕跡が縦横無尽に交差する。時折そよぐ微風を除けば静寂を遮る者などいない。けれどもその空間には不思議と生命の息吹が充ち満ちている。結局山の中に身を置くことが一番の癒しなのだ。そのことを再認識した瞬間だった。
けれども八つ当たりされた方にとっては、そんなことはどうでも良い話、雪割草の蕾が開くにはあと少しの温もりが必要かも…。

時間を見計らい適当な場所でランチ、日差しは暖かいがじっとしてると時折吹く風が冷たい。結構汗をかいたようで水が美味しい。食後のコーヒーをゆっくり味わいながら眺望を楽しむと時間はあっという間に過ぎていく。
この日の残雪は時間の経過と共に来た時よりさらに緩み、かんじきを履いていても辛く潜る。歩き始めたらまたまた汗が噴き出し、まるで夏道の縦走のようだ。当然喉も渇き持参の水をあらかた飲み干す始末、もっとも大好きなカップ麺の影響も無視できないのだが…(笑)



いがぐり頭(笑)

遠くの稜線に生える樹木が短く立った毛髪のようだと心の中で笑う。行き交う樹木にいろんな表情を探し、時に上空を見上げては珍鳥の姿を探す。雪上の足跡はついさっき通ったばかりの動物の顔をありありと思い起こさせる。
命のループは限りない時空を駆け巡りここにある。けれどもそんなことを微塵も感じさせない、たおやかで広大な世界が広がるこの場所に立っていられることは、とても幸せなことなんだと改めて思う。

やっぱり山は良いですねぇ…


欲張りなブナ(笑)